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(蓖麻子油、ひまし油)
伝統的に瀉下薬(下剤)として利用されている成分の一つです。
トウダイグサ科のトウゴマの種子(ヒマシ)を圧搾して得られた油を用いた生薬。
小腸でリパーゼの働きによって生じる分解物が小腸を刺激することで瀉下作用をもたらすと考えられています。
医薬品(日本薬局方に収載)のヒマシ油及び加香ヒマシ油は腸内容物の急速な排除を目的として用いられます。急激で強い瀉下作用を示すため、激しい腹痛又は悪心・嘔吐の症状がある場合や、妊婦又は妊娠していると思われる女性、3歳未満の乳幼児では使用を避けることとされています。
主に誤食・誤飲等による中毒の場合など、腸管内の物質を速やかに体外に排泄させなければならない場合に用いられますが、防虫剤や殺鼠剤を誤って飲み込んだ場合のような脂溶性の物質による中毒には使用を避ける必要があります。(ナフタレンやリン等がヒマシ油に溶け出して中毒症状を増悪させる恐れがあります。)
同じように、駆虫薬(ぎょう虫駆除など)の医薬品を適用後、排泄を促すために瀉下薬を使用する場合がありますが、駆虫薬は腸管での吸収は必要とされない性質のものである一方で、ヒマシ油においてはその性質上、腸管からの吸収を促してしまうことから駆虫薬が全身を巡ることとなり予期せぬ副作用を生じる可能性があります。ですから、駆虫薬の使用後に用いる瀉下薬にヒマシ油を用いることは避ける必要があります。
また、吸収された成分の一部が乳汁中に移行して、乳児に下痢を引き起こす恐れがありますので、母乳を与える女性においては使用を避けるか、使用期間中は授乳を避ける必要があります。
刺激性瀉下成分が配合された瀉下薬を使用することにより、腸の急激な動きに刺激されて流産・早産を誘発する恐れがあります。