医薬品の剤型

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医薬品にはいくつかの剤型があります。

それぞれの違いは利便性を高めたり、薬剤が有効箇所で溶け出すように工夫してあり、どれも同じというものではありません。


(錠剤)

錠剤は内服用として広く用いられ、錠剤であるがゆえの有効性としては、服用時に散剤のように飛び散る心配がない、薬剤そのものがもつ苦味や刺激などを感じない、ということが掲げられます。

一方で、錠剤は一定の大きさを有するため、乳幼児や高齢者では飲み込みにくい場合も考えられます。

米国では多いと聞いておりますが、錠剤がカプセル剤のように長細い形をしている医薬品もあります(⇒カプレット)。錠剤としての内容量は同じですが、口に含んだ水に浮き、エアシューター(古っ?)のように喉を通過するので、飲み込みやすいという利点がありますが、まだまだ一般的ではなく、一部タケダの総合感冒薬などに採用されているだけに留まります。

 

 



錠剤の服用時には、水又はぬるま湯と共に飲み込みます。水の量が少ないと、錠剤が喉や食道の壁面に張り付いてしまうこともあり、そうなると薬効が期待できないばかりか粘膜を傷つける恐れもあります。そもそも、コップ1杯の水などで服用することにより適切に胃や腸で崩壊して有効成分が溶け出すように作られていますので、服用の仕方は重要になります。同様の理由で、噛み砕いての服用は適切とは言えません。


糖衣錠など、コーティングされた医薬品もあり、薬剤のニオイなどを抑制するほかにも、胃や腸での解け具合を調節する場合もあります。

一方で、有効成分のみが利用されている錠剤もあります。

関節痛の緩和などに使用されるコンドロイチンがは軟骨成分から成り、錠剤がコーティングされていない場合には水分の吸収が激しく、粘膜に張り付く可能性が高いため、多目の水を利用してしばらく口腔内で水分を吸収させるなどの対策をとったほうが良いです。


(錠剤-口腔用)

口腔内崩壊錠

唾液によって比較的速やかに溶けるために水なしでも服用でき、乳幼児や高齢者でも扱いが容易です。

チュアブル錠

口の中で舐めたり噛んだりして服用するタイプです。

トローチ・ドロップ

口の中や喉に対して薬効を期待する場合に使われる剤型です。噛んだり飲み込んだりせず、口の中でゆっくりと溶かして使用します。


(カプセル剤)

カプセルの中に散剤や顆粒剤、液剤などを充填した剤型であり、比較的多く用いられています。

カプセルの原材料であるゼラチンは、殆どが豚などの蛋白質から作られていますので、アレルギーを持つ方は使用を避ける必要があります。

水なしでの服用はゼラチンが喉などの粘膜に張り付く可能性があるため注意が必要です。


(散剤、顆粒)

粉末状にしたものを散剤、粒状にしたものを顆粒といいます。

錠剤が苦手な方には良いのですが、袋から飛び散るなどにより服用量が正確でない可能性があり、また、口の中に分散することによる違和感、歯の間に挟まる可能性(入れ歯も)もあり、さらに、苦味などを感じる場合もあります。

服用時の飛び散りを防ぐためにも先に口内へ水を含んでおく、数回に分けて服用するなどの工夫をすると良いです。

顆粒剤は表面がコーティングされているため、苦味を抑えたり崩壊速度をコントロールしている場合があるため、噛まずに流し込む必要があります。


(内服液、シロップ)

内服液剤はあらかじめ有効成分が液中に溶け込むか分散しているため、服用後は比較的速やかに消化管からの吸収が行われます。循環血液中の血中濃度が上昇しやすいため、軽い気持ちで不適正な使用をすると、予想以上の副作用を引き起こす場合も考えられます。⇒大人用総合感冒薬には内服液は使われません。⇒通常の医薬品を使用した方が効果は高く、また、副作用を引き起こす可能性は格段に低くなります。


小児等に用いる医薬品には、苦味やニオイを抑えるために白糖などを混ぜたシロップ剤とする場合が多いです。シロップ剤は粘りがあり、服用時に使用した容器に残りやすいので、最後に水でとかして飲むなどの工夫をすると、より正確な服用量を確保できます。


なお、シロップ剤の瓶はガラスタイプとプラスチックタイプがあり、プラスチックタイプでは容器を手で握るように抑えることで水鉄砲のように薬剤が射出され、微妙な量の調節ができるように工夫された製品もあります。一度使ってしまうとガラスタイプの使用がわずらわしく感じられるかもしれませんが、症状に応じた製品を選ぶことが一番重要だということを忘れてはなりません。(ちなみに、小児用薬の外箱に書かれたキャラクターも侮れません)




外用

(軟膏、クリーム)

適用部位(塗った場所)を水や外部刺激から遮断したい場合(火傷など)には軟膏が適し、水で洗い流したい、浸透性を高めたい場合などはクリームを用います。


(液剤)

軟膏やクリームなどと比較すると、適用部位が乾きやすいという特徴があります。一方でしみる場合もあります。


(貼付[ハップ]剤)

皮膚に粘着させて用いるため、有効成分が持続的に放出され、長時間の効果が期待できます。

効果は高いですが、かぶれや炎症などを起こす場合もあり、皮膚の弱い方には向きません。


(噴霧剤)

有効成分を霧状にして吹きつけます。指など塗りにくい場所や、比較的広範は部位に適用する場合にも用いられます。


擦り傷などで使用する殺菌消毒剤では、パウダーが配合されている場合があり患部をさサラサラにする作用がありますが、そのように結果的に適用部位を覆ってしまうものについては、誤った使用をすると逆に細菌の繁殖を促してしまう可能性がありますので、使用前に流水などで泥などを綺麗に落とし、適用部位を清浄にしてから使用する必要があります。




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