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健康情報 ⇒ 潔癖症もどうかと・・・
日本人は一般的にキレイ好きと言われています。
抗菌石けん、抗菌靴下、除菌洗剤、抗菌まな板、抗菌・・・
これらは、全て細菌から身を守るためのグッズです。
除菌して細菌から身を守ることによって、重大な感染症を寄せ付けず、寿命を延ばす場合がありますから重要なことと言えます。
食中毒などの危険からも手軽に守ってくれます。
除菌の代表は石けんでしょうか。もし、石けんが開発されていなければ、パスタイムはお湯を浴びるだけ・・・
いくらタオルでこすってもキレイになってくれません。
石けんの歴史 5千年も前に誕生したと言われる石鹸。 古代ローマ時代の初期、神様へのお供え物として焼いた羊を捧げる風習があったということです。
羊を焼いている時に滴り落ちた脂が灰と混ざり、土にしみ込んでゆき、石けんのような物ができました。その土には汚れを落とす力があることが分かり、重宝されたようです。 偶然とはいえ、天然の界面活性剤※が発見され、それが高い洗浄力を持っているということが5千年も前に知られていたことは驚きです。 ※界面とは、表面のことを言います。2つの性質の異なる物質の境界面のことです。 混じり合わない物質には、界面が存在します。代表的な物は、水と油です。 界面活性剤とは、界面の性質を変えて、2つの物質の境界面をなくしてしまう(=混じり合うようにする)物質のことを言います。 一般的な普及となるのはそれからずっと後のことです。 ヨーロッパでは8世紀ごろから徐々に広がっていったと言われています。 日本における石けんの歴史は、オリジナルではなく、鉄砲伝来と同時期(1543年頃)、ポルトガル 人が土産品として持ってきたことから始まったようです。(ポルトガル語で石けんはシャボンといいます。日本では戦前まで石けんのことをシャボンと呼んでいたそうです。) 入ってきたのは技術ではなく現物で、製造方法までは教えてもらえなかったもようです。 ですから、将軍様など一部の偉い人が独り占め・・・ 超高級品でした。 当時は下剤など薬用として利用されていたようです。今では考えられません。 明治初期から国内での製造も始まりますが、非常に高価であり結局一般の方は手に入れることのできない夢の品、幻の逸品です。 ようやく一般の方も使えるようになったのは明治の後期。 昔の人はどれだけアカを貯めていたのでしょうか? 生まれて始めての石けんは一体どれほど気持ちよかったのだろう? 1ヶ月くらい体を洗わないと再現できるかも・・・ しかし、石けんは肌をキレイにするとともに、悪い菌をやっつけてくれる働きもあることから、感染症などへの貢献度も高いと思いますので、実験はやめておこう。 |
一日に何回も手を洗う、顔を洗う、ということは、キレイ好きなら当たり前。
何のためにか?
もちろん有害な細菌を退治するために決まってるじゃないですかーっ!!
そこで退治する細菌は、そんなに悪者なのでしょうか?
皮膚の表面には1m3当り100万個程度の細菌が住んでいることはご存知でしょうか?
代表選手はエピデルミディス菌(表皮ブドウ球菌)。
よく知られているのはアクネ菌(ニキビ菌)です。
他にも、多くの菌がいます。
これらは、皮膚常在菌と呼ばれています。
皮膚常在菌は、皮膚の余分な角質や皮脂、汗などをエサにして生きているのですが、実は皮膚を健康に保つための重要な働きもしているのです。
人間の健康な肌の状態は弱酸性です。
「赤ちゃんの肌と同じ・・・」 というCMもありますが、大人の肌も弱酸性です。
この弱酸性を保てるのは皮膚常在菌のおかげなのです。
アクネ菌は毛穴の皮脂をエサにして脂肪酸(酸性の物質)を作り、皮膚の表面を弱酸性の膜で覆い、悪い細菌やウイルスなどの侵入を防ぎます。
エピデルミディス菌は汗を食べて天然の保湿因子を作り、皮膚のみずみずしさを保ちます。
これが、お風呂で体を洗うと90%程度の皮膚常在菌も一緒に流されてしまうと言われています。
一方で、この状態(皮膚の状態=弱アルカリ)は15分程度で弱酸性へと戻り、皮膚常在菌も12時間後には元に戻っているということです。
しかし、1日に何回も洗顔をしたり、お化粧を落とすための強力なクレンジング剤の使用による頻繁な皮膚常在菌への攻撃は、次第に皮膚常在菌の数を減らし、最後には皮膚を保護する機能も奪ってしまう可能性があります。
細菌は全て悪い物、と、あまり神経質に抗菌グッズなどに頼りすぎるのも問題があるかもしれません。
強く書かないのは、健康な皮膚の持ち主はあまり顕在化しないからです。
しかし、汚れをよく落とす石けんとは、アルカリ度が強い場合が考えられ、皮膚への刺激が強すぎて肌トラブルを生む場合もあります。
保湿機能の低下によってドライスキンになってしまったり、細菌やアレルギー物質の侵入を許してしまい、アトピー性皮膚炎になる場合などもあります。
石けんは通常、弱アルカリ性です。 アルカリの力は洗浄力にも貢献します。
一部、弱酸性の石けんも販売されています。
上で書いたように、アルカリの石けんを使ってもすぐに弱酸性の肌へと戻るため、弱酸性の石けんあまり必要ないようにも思います。
実際、普通のお肌の方ですと、弱酸性石けんと、弱アルカリ石けんのどちらを使っても、ほとんど変化がみられないようです。
よほど、洗顔後や体を洗った後に、きっちりと洗い流して、キレイに拭き取ったた方が刺激物が除去されることによって皮膚への影響は少ないようです。
一方で、赤ちゃんやお年寄りなど、肌が弱い場合は?というと、低刺激の弱酸性石けんの方が良いかもしれません。
ただし上で書いたように、洗い流すことや、拭き取りに気を配る必要があります。
また、水虫の時や、肌が荒れている場合はどうでしょうか?
すでに肌の保湿機能や免疫機能は低下しています。
そんな時に弱アルカリの石けんを使うと、さらに皮膚常在菌の数は減り、お肌本来の機能がどんどん損なわれていってしまいます。
そんな場合は、メディカルソープ(消炎剤、ビタミン、保湿成分など配合)や、デオドラントソープ(殺菌剤配合)を試してみるのもよいでしょう。
(この2つは 「薬用石けん」 と言われる医薬部外品です。正常な方が使っても普通の石けんとそれほど効果に差は出ないようです。)
また、弱酸性の石けんを試してみるのも良いと思います。
ともかく、あまりに過剰な洗顔などは、お肌のトラブルを招く可能性があるということ。
そして、弱酸性の石けんが必要な場合もありますが、それほどこだわる必要がないということを理解していると良いと思います。
皮膚のトラブルは夏に起こりやすい
上では過剰な洗顔などが、お肌のトラブルを招く可能性があるとしながらも、今度は、少しは皮膚を清潔に保ちましょう、というお話です。
気をつける季節は夏。
高温多湿で日差しの強い夏は、皮膚にとって辛い季節です。
紫外線や汗、細菌やカビの感染などにより、引き起こされるものとしては、
・日焼け
・かぶれ(接触性皮膚炎)
・とびひ(伝染性膿痂疹:でんせんせいのうかしん)
・あせも
・脂漏性皮膚炎
・ニキビ
・アトピー性皮膚炎
・水虫
などがあげられます。
これらは、皮膚を清潔に保つことが予防への第一歩です。
そしてこれらの症状が現れた場合は、適切なお薬を選択し、正しく使用することが必要になってきます。
(かぶれ、湿疹には)
かぶれの原因は、金属や化粧品などのアレルギーによる場合もありますが、夏はなんといっても、”うるし”などの植物にかぶれてしまう機会が増大します。
植物にかぶれた場合には、まずは水でよく洗い流す必要があります。
次にカユミ止めの軟膏(例:抗ヒスタミン剤配合)を塗ります。
カユミを抑えるために患部を冷やすことも有効です。
カユミが強い場合は、ステロイド(副腎皮質ホルモン)剤を使うと炎症が治まり楽になります。
他にも、非ステロイド性の消炎剤や、いろいろなカユミ止めがミックスされた製品もあり、また、ステロイド剤についても成分によって効果の強弱がありますので、薬屋で相談してから選ばれると良いと思います。
数日様子を見て、悪化しているようであったり、いつまでたっても変化が見られない場合には皮膚科の受診をオススメします。
なお、アレルギー性の皮膚炎は、原因物質に近づかないことが一番の予防法です。皮膚科を受診して何アレルギーなのかを調べてもらうことも良いでしょう。
(脂漏性皮膚炎、あせも、アトピー性皮膚炎には)
これらは、皮膚を清潔に保つことが必要となってきます。
ですから、汗をかいたら早めにシャワーを浴びるようにして、下着などの衣類はこまめに着替えるようにします。
また、日ごろの食事についても、栄養のバランスがとれるように気を配り、皮膚の抵抗力を養っておくことも効果的です。
(とびひには)
とびひ(伝染性膿痂疹)は、黄色ブドウ球菌に感染して湿疹ができ、水ぶくれを掻きこわすと全身に広がります。←火事の飛び火のように広がることから命名子どもに多く、大人が黄色ブドウ球菌に感染した場合は、おでき(毛のう炎)になります。
抗生物質が有効です。話題の耐性菌が心配であれば皮膚科を受診してください。
もし、”とびひ”になってしまったら、入浴はシャワーだけにして、石けんを手でよく泡立てて、優しく洗うようにしてください。
また、アトピー性皮膚炎の子どもがとびひにかかると重症化しやすいので、もしかして? と思ったら、すぐに皮膚科を受診してください。
感染症はシャワーなどで皮膚を清潔に保つことが一番の予防法であり、また、改善法でもあります。
(塗り薬の使い方)
基本は、やさしく塗ること、そして、塗り過ぎないことです。
ゴシゴシと擦り込むと、皮膚への刺激が強くなり症状が悪化する場合もあります。
やさし〜く、やさし〜く です。
患部が広い場合には、薬を人差し指に付けて、ある程度の間隔を開けてチョン、チョン、と置いて、手のひらを使って広げると均等に塗ることができます。
また、厚く塗る(=大量)と、効果は高まりませんが、副作用の危険性だけは高くなります。
塗った所を斜めから見たら、かすかに光っている程度で良いでしょう。
(他にも)
あと、夏の皮膚トラブルを防ぐ方法としては、
・外出時に日焼け止めクリームを塗る
・外出時に帽子をかぶる
・外出時に日傘をさす
などの、紫外線対策を行うことも重要です。
また、入浴時にはナイロンやシルクのタオル、スポンジを避け、木綿のタオルを
使うようにしたり、髪の毛を乾かす時には、タオルでしっかりと水分を拭き取り、
ドライヤーを使わずに自然乾燥させるのも良いでしょう。