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「法律ギリギリが一番儲かる」などと、今となってはそんな考え方では甘いのかもしれない・・・
2009年6月より施行された改正薬事法。
「第1類医薬品」と「第2類医薬品」の通信販売が規制されるとして相当に話題になりましたが、ここでは違う話題を。
この改正により、それまで医薬品を店頭で販売することができるのは「薬剤師」か「薬種商」であったのが、「登録販売者」という資格が追加され、それまで薬種商であった方は登録販売者に含められる形となりました。
登録販売者は第1類医薬品(リアップ、ガスター10など)の販売はできませんが、大概の医薬品を販売することができます。
では、薬種商と登録販売者は同じなのか?というと、今となっては実質同じですが、資格を取得するための試験に大きな差があります。
薬種商となるためには、その前提として3年以上の実務経験がなければならず、また、試験内容は化学や生薬までにも及ぶ難問、おそらく現役薬剤師であっても事前勉強無しでの合格は難しいと思われる狭き門でした。
何回受けても合格しない方であっても、経験を積み、勉強を重ねればそれなりに医薬品について詳しくなるのが普通。
それが登録販売者試験となると、実務経験1年以上、資格試験は本当に1年間医薬品販売に携わってきたのなら必ず合格するのでは?と思われる問題。
しかし、不合格者が結構多いのが気になります・・・
実務経験年数は雇用主が申告するため、実際にはドラッグストアでレジや化粧品販売しか手がけたことの無い方であっても、虚偽の申告によって試験を受けさせてしまったのではないか? という疑念が湧きます。
もちろん、どのような職種・資格であっても、その仕事ぶり、仕事内容は人によるもの。
病院であればゴッドハンドからヤブ医者、事務作業であってもその効率は人によってピンキリですから、資格を取得していれば一律に同じ知識やサービスを提供できるというのは現実的ではありません。
薬剤師だったら医薬品のことを何もかも知っていて当たり前だと世間では認識されているのかもしれませんが、一般用医薬品のことを殆ど知らない(忘れたのかな?)方だっています。そのことに対して私は今更何も驚くことが無いくらい普通のことだけれども、こんなことを書いてしまって良いのだろうか?(汗) 非常に不安になってきました・・・
まぁ、資格は最低限のレベルを確保するためのものと考えて良いでしょう。
チェーン展開している薬屋さんでは、TVCMなどで従業員への医薬関係知識の向上に努力していることをPRしている場合もあります。
現実はどうでしょうか。
なぜ「登録販売者」というものが必要だったのか?といえば、薬剤師不足&薬種商不足があるでしょう。
しかし、登録販売者という有資格者を増やす一方で、薬屋さんはその売り場面積に応じて薬剤師か登録販売者を置かなければならなくなりました。
一人当たり週40時間まで。
営業時間が長いうえに店舗面積の広いドラッグストアなどでは、相当な有資格者が必要となります。
近隣のドラッグストアでは過去に有資格者が居ないにも関わらず医薬品を店員(無資格)が販売したとして問題になったりしました。
登録販売者制度は、それを解決するためのものと考えても良いように思いますが、先日雑貨を買いにそのドラッグストアへ行ったところ、医薬品売り場には誰もおらず、結局何も変わっていないなぁ・・・ と。
セルフプリーズ! では有資格者が居ても居なくても同じです。
一方で、有資格者であっても必要な知識を持ち合わせていない場合、そんな方に医薬品の相談をするのはすごく怖いですね。しかも他人事として扱われたりなんてしたら、正に自分で医薬品を選択した方が安全のような気がします。(⇒実際問題として、それではダメですが・・・ どうしたら解決するのでしょうか?)
あと考えられるのは、有資格者が増えれば、雇用のための単価(資格手当)を極端に低く抑えることができるというもの。もちろん、大手では大量の人員を新規に雇用できるハズもなく、自前でパートさんなどを片っ端から受験させたのでしょうから、資格手当は雀の涙程度なのかもしれません。
報酬UP↑ ⇒ やる気UP↑ という道筋ができないのは安売り店では仕方の無いこと。 しかし、やる気DOWN↓ となって、問題が起きてしまっては困ります。
◆麻生首相(この記事を書いた今現在)の言う、「安心」や「責任力」は、人様の健康状態に影響を及ぼす私たち医薬関係者にとっても重要なキーワードですね。